何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

2020-01-01から1年間の記事一覧

絵葉書を読む(その1) 関東大震災

前回の記事で予告したように、これからときどき購入した絵葉書を紹介していこうと思う。(飽きなければ) その記念すべき第一回目はこちら。 『本所被服廠大正十二年九月一日大震大火焼死者納骨堂』 第一回目にしてはテーマが暗すぎるような気もするが……。 …

絵葉書を読む(序)

以前、「アンティーク絵葉書を集めてみたい」というようなことを書いた。 paperwalker.hatenablog.com ずっと保留にしていたのだが、最近になってポツリポツリと集め始めている。 まだ趣味といえるものではなく、これから趣味になるかどうかというぐらいの段…

シャーロック・ホームズの冒険

最近『憂国のモリアーティ』というアニメを見ている。 これは『シャーロック・ホームズ』を原案にしているのだが、主人公はホームズの宿敵モリアーティ教授で、なるほど、そういう視点があったかと思わされる作品だ。 原作の漫画の方も読んでみたいのだが、…

ノッポさん

たとえばカラーボックスなど、ちょっとした物を組み立てているとき、私の頭の中では必ずと言っていいほど ♪♪ でっきるかな、でっきるかな ♪♪ という歌が流れている。 これは昔、NHK(教育テレビ)でやっていた『できるかな』(1970~1990)という子ども番組で…

書を求め町に出よう

角田光代・岡崎武志『古本道場』(ポプラ社、2005)を読んでいる。 ついこの間出た本だと思っていたが、もう15年も前になるのか。 道場主である岡崎さんのもとに古本初心者の角田さんが入門し、岡崎さんの「指令」に従っていろいろな古本屋を巡るという趣向…

『本の雑誌』への感謝

私は普段ほとんど雑誌を買わないのだけれど、一つだけ毎月欠かさず買っている雑誌があって、それが『本の雑誌』だ。 最初に買ったのは確か二十歳ぐらいのときなので、もうかれこれ30年の付き合いになる。その間、本当に金がなかったときの数回を除いて毎号買…

買えない切符

明け方、こんな夢を見た。 私は東北のどこかに来ていた。 たぶん仕事で来たのだと思うが、その仕事も終わったようで、これから帰るところだ。 新幹線で帰るつもりで、駅にいる。小さめの駅だ。切符を買うために窓口に行くが、切符は券売機で買ってくれと言わ…

法事のこと

先日、父の三回忌を行った。 本来であれば、近い親戚に集まってもらって、お寺でお経をあげてもらった後に簡単な食事会をしたりするのだが、いまはコロナのことがあるので集まることはせず、私と姉たちだけでお寺に行った。 読経してくれたのは若いお坊さん…

路上の短歌

私は基本的にバイク(原付)移動なのだが、バイクに乗っている時間はいろいろな考え事をするのに適している。 まあ、考え事といっても私のことだから、取るに足らないどうでもいいことが大半だ。今夜なに食べようかなーとか、来月の岩波文庫なんだっけとか、…

それは誤解です

ある日、仕事の帰りに本屋に寄ったときのこと。 本を物色して、単行本、文庫本、漫画本をそれぞれ一冊ずつ持ってレジへ。レジには60代ぐらいの男性がいて対応してくれたのだが、そのとき、 「文庫にカバーをかけますか?」 と訊かれて(ん?)と思った。 も…

習字の時間

前回読んだ新保信長『字が汚い!』の中で、著者の新保さんは「小3ぐらいから中1ぐらいまで書道教室にも通わされたが、面白いほど身についていない」と書いていた。また、取材をした同年代の人たちの中にも子どもの頃習字を習っていた(けど字が下手な)人が…

字は人を表すか?

新保信長『字が汚い!』(文春文庫、2020 / 文藝春秋、2017)という本を読む。 編集者でありライターでもある著者は、あるとき自分の字の汚さにうんざりする。 ある企画の依頼状を、「アナログ世代編集者としては、ここぞという場面ではやはり手書きの手紙…

おしるこ、ダウンジャケット、冬の詩

昨日、仕事の帰りに本屋に寄って、ちょっとコーヒーでも飲もうかと自販機の前に立つと「おしるこ 」が登場していた。 今年ももうそういう季節になったのかと思う。(自販機のメニューで季節を感じるのもどうかと思うが) 私はこの缶のおしるこが好きで、冬の…

タバコ算

たとえば本を買うのに少しまとまったお金(といっても数千円だが)を使うとき、なぜか自分に対して言い訳を考えてしまう。 「ほら、あれだよ? この全集がこんな値段で出てることはまずないよ? ここでスルーしたら絶対ほかの人が買っちゃうよ? 今度は積ま…

同人誌がある生活

前回読んだ川崎昌平『労働者のための漫画の描き方教室』の姉妹編ともいうべき本がこちら。 川崎昌平『同人誌をつくったら人生変わった件について。』(幻冬舎、2019) この本は『労働者の……』と違って物語になっている。 主人公はデザイン会社に勤務するA子…

「労働者よ、ペンを執れ!」

なんだか昭和初期のプロレタリア文学みたいなタイトルだが、これは川崎昌平『労働者のための漫画の描き方教室』(春秋社、2018)という本の帯に書いてある言葉だ。 あなたは今の自分の労働にやりがいを感じているだろうか? もしそうではなく、ただ日々の労…

バサの話

先日、スーパーで魚の切り身を買った。 照り焼き風の味付けがされていて、フライパンで焼くだけのやつだ。よくある加工品だけど、商品表示のところに見慣れない言葉があった。 白身魚(バサ) 原産地ベトナム バサ? サバなら知ってるけど、バサって何? 困…

とらぬ狸の古本屋

前回の記事で「本好き、古本好きの人なら、一度は自分で古本屋をやりたいと思ったことがあるかもしれない」と書いた。 では私はどうかといえば、もちろんやってみたいとは思う。しかしそれは現実的な計画や目標ではなく、夢想や妄想として思い描いているだけ…

本があって、人がいて

片岡喜彦『古本屋の四季』(皓星社、2020)を読んでいる。 片岡さんは神戸市にある「古書片岡」の店主。10年前、定年退職を機に古本屋を開業した。この本はその10年間の軌跡を綴ったもので、片岡さんが同人になっている雑誌に発表してきた文章が元になってい…

赤とんぼ

『赤とんぼ』という童謡がある。 夕やけ小やけの 赤とんぼ おわれてみたのは いつの日か 誰でも一度は聞いたことがあると思うが、実は私はこの歌詞を長い間勘違いしていた。 「おわれてみた」の部分を、「追われてみた」だと思っていたのだ。 正しくはもちろ…

「いま」を生きる

ここ10日ばかり、いつも利用している動画配信サービスで集中的にアニメ『けいおん!』を見ていた。 『けいおん!』は、女子校の廃部寸前の軽音楽部に入ってバンドを組んだ唯、律、澪、紬の4人(のちに後輩の梓が入部して5人になる)の日常をゆるめに描いた物語…

500円玉

ジュースを買おうと思って、自動販売機に500円玉を投入した。すると、釣り銭受けにそのままカコンと落ちてきた。まあ、ときどきあることだ。 気を取りなおしてもう一度投入。またカコン。 もう一度。カコン。 落ちてきた500円玉をよく見ると、500円玉は500円…

自分の「おいしい」を探して

稲垣えみ子『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス、2017)を読んだ。 帯には「準備は10分」とか「1食200円」などと書かれているので、時短料理や節約料理を紹介する本かと思ったら、それだけではなく、これは一つの「生き方」に…

夢の中の短歌

明け方、こんな夢を見た。 体育館のようなところにいる。 その真ん中に折りたたみの長机が2つ置いてあり、人が5人ずつ向かい合って座っている。私は一番端にいる。 何かのイベントみたいだが、観客・聴衆はいない。 とうとつに司会のような人が現れて、説明…

ブログのタイトル

いまさら言うのもなんだけど、このブログのタイトル『何を読んでも何かを思いだす』は、ヘミングウェイの短篇小説「何を見ても何かを思いだす」から借りている。 実際にブログを始める前から、「もしブログをやるなら、こういうタイトルにしたいなあ」と考え…

台風一過

どうにか台風をやり過ごした。 今回の10号は接近前からその大きさ・強さが尋常ではないと言われていたので、基本のんきな私もちょっと心配だった。 と言いながら、これといった準備もしていない。せいぜい数年ぶりに雨戸を閉めたぐらいのものだ。 どうも私は…

メガネ初心者

今年は運転免許の更新の年だった。 私は優良(ペーパー)ドライバーなので簡単な講習だけでいいのだけれど、今回はちょっと問題があった。視力検査だ。 5年前の前回でも視力がギリギリ(0.7)だったので、次はこのままじゃ無理かなとは思っていたのだが、タ…

油風呂

子どもの頃、お盆で親戚が集まったとき、みんなで冷たい麦茶を飲んでいる中で叔母の一人が熱いお茶を飲んでいた。 なんで熱いお茶を飲んでるの? と訊くと、暑いからといって冷たいものばかり飲んでいると体に悪いから、あえて熱いものを飲んでいるという答…

吸血鬼

5、6歳ぐらいのことだったと思うけれど、3日続けて同じ夢を見たことがある。 「怖い夢」だった。 私はいつものように幼稚園に行った。 教室に入って友だちの顔を見ると、なんだか様子がおかしい。 そのとき突然、友だちがみんな吸血鬼にされていることに気づ…

日記と新しいノート

日記を再開するために、新しいノートを買ってきた。 日記といっても毎日書くわけではない。もともと購入した本を記録するために書き始めたもので、それに日々の出来事や気分などを書き加える感じのものだ。 とくに書くことがない日は書かないし、1日が2、3行…