何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

2021-01-01から1年間の記事一覧

2021年のブ活をふりかえる

ありがたいことに今年も一年ブログを続けることができた。 今年はこれが最後の更新になるので、今回は2021年のブ活(ブログ活動)をふりかえってみたいと思う。 今年は(この記事を含めて)79件の記事を書いた。昨年が87件なので1割ぐらい減っている。 更新…

毎日のことだから

ようやく土井善晴『一汁一菜でよいという提案』(新潮文庫、2021 / グラフィック社、2016)を読み終わる。 単行本が出た時に話題になったから気になってはいたのだが、ずっと先送りしていた。それが先日文庫化されたので、これを機会に読んでみた。 はてな…

「読む」と「インプット」

最近よく目にするようになったなと思う言葉に「インプット/アウトプット」というのがある。 もともとはコンピュータ関係の言葉で「入力/出力」という意味だったはずだが、それが人間にも使われるようになって、知識や情報を得ることを「インプット」、表現…

仕事と自由

もう何度も書いていることだけど、二十代の頃、無職でぶらぶらしていた時期がある。 理由はいくつかあったのだが、その根底には「できるだけ他人と関わらずに自由でいたい」という身勝手な気分があったのだと思う。(まあ、今もそういう気分がないわけではな…

「有意義な休日」について

休日の終わり、「ああ、今日もまた無駄な一日を過ごしてしまった」と軽く自己嫌悪に陥ることがよくある。 遅い時間に起きて、だらだらしていたらいつの間にか部屋が暗くなっていた、なんてことはしょっちゅうだ。 その度に休日をもっと有意義に使わなければ…

愚痴も芸のうち

仕事が地獄である。 毎年12月は繁忙期でたいへんなのだが、それでも去年と一昨年は休日にブログを書くくらいの精神的余裕はあった。しかし今年はイレギュラーな事情からそれに輪をかけて忙しく、休日も気力体力が尽き果てたままぐったりしている。 「忙殺」…

寝るより楽はなかりけり

最近、休日の起床時間がだんだん遅くなっている。 寒くなってきたことに加えて、いま仕事がきつい時期なのでその疲れが出ているのだと思う。 今日も8時過ぎに目が覚めたが、そのままうつらうつらと布団の中にいて、10時ぐらいにトイレが我慢できずにしかたな…

冷蔵庫がある生活

川上卓也『貧乏という生き方』(WAVE出版、2010)という本を読んだ。(なぜそんな本を読んでいるかはお察しください) その中に「ああ、憧れの無冷蔵庫生活」という一項があって、そこで著者は、節電・節約のために冷蔵庫のない生活を目指していろいろ工夫し…

絵葉書を読む(その9) 歌は世につれ

『絵葉書を読む』第9回。今回の絵葉書はこちら。 『東京市電車』 昔の東京の路面電車の乗車風景なのだが……実は今回の話はこの絵とは直接関係がない。表の通信文に興味をひかれて購入したのだ。さっそく引用してみよう。(旧字・旧仮名遣いは現代的に改めた)…

冬が来る前に

数日前の雨以来すっかり寒くなってしまった。 もう秋の余韻を楽しむような余裕もなく、すぐにでも冬がやってきそうだ。 そんな季節に必ず頭の中で流れる曲が紙ふうせんの『冬が来る前に』である。(そのまんまだけど) www.youtube.com この曲が脳内再生され…

共産趣味

誰がつくったのかは知らないが「共産趣味」という言葉がある。 「主義」じゃないですよ。あくまで「趣味」。 ちゃんとした説明はWikipediaに丸投げするとして、私が理解している範囲で言うと、これはつまり、共産主義や左翼思想などを真面目に研究するのでは…

だれも買わない本は……

編集者でライターの都築響一さんにこんなタイトルの本がある。 『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(晶文社、2008) 内容は書評と、本や書店に関するエッセイなのだが、とりあえずそれは置いといてこのタイトルがすばらしい。 すばらし…

「読書週間」の標語を読む

毎年10月27日から11月9日までの2週間は「読書週間」ということになっていて、この期間に読書や本に関するイベントが多く開催される。 この「読書週間」の歴史は意外に古く、その前身にあたる「図書週間」が制定されたのは1924年(大正13年)のことだ。その後…

老いも若きも

前回、「はてなブログ」の特別お題「10の質問」に答えてみたのだが、このお題はけっこう書きやすいようで、たくさんの人が記事を寄せている。専用のページを見ると、現時点で700件以上の記事が挙がっている。 これを読んでいくのがけっこう楽しい。 blog.hat…

お答えします

「はてなブログ」10周年、おめでとうございます。 私はまだ2年半ほどのつきあいで、はてなの端っこの方にひっそりと棲息している書き手ですが、謹んで御祝い申し上げます。 さて、挨拶はそんなところにして、10周年記念で特別なお題が出ているので私も参加し…

ソビエト横断ウルトラクイズ

前回の記事で、70年代の後半から90年代の初めにかけて開催・放送された『アメリカ横断ウルトラクイズ』が好きだった、という話をした。 paperwalker.hatenablog.com その記事を投稿した後に思い出したことがあるので、「おまけ」として書いておく。 昔、『ア…

アメリカに行きたかったころ

先日、46年続いたクイズ番組『アタック25』が終了した。 大人になってからはあまり見る機会がなかったが、10代の頃はわりとよく見ていたと思う。 昔(70年代後半から80年代)はこういう視聴者参加型のクイズ番組がけっこうあって、子どもには難しいところも…

家族のいる俳句

以前、ちょっとした調べ物をしているときに安住敦という俳人のこんな俳句を見つけた。 啓蟄や書肆二三件梯子して 「啓蟄」は春の季語で、要するに、春の日に本屋を2、3軒梯子したというそれだけの句なのだが、これがなぜか妙に印象に残った。 なんというか、…

コンビニコミック

先日、コンビニで漫画のラックを見てちょっと驚いた。 『ワンピース』のコンビニ版(廉価のペーパーバック)が出ていたのだ。 もちろん『ワンピース』は現在も連載中の人気漫画である。普通のコミックス(単行本)もまだ生きているはずだ。それなのに(初期…

森へ行きましょう

ちょっと調べたいことがあって、黒岩比佐子『古書の森 逍遥ーー明治・大正・昭和の愛しき雑書たち』(工作舎、2010)をパラパラめくっていたら、読むのをやめられなくなった。 黒岩さんは、ちょっと変わった切り口で明治や大正の人や文化を紹介するノンフィ…

なんでも煮てやろう

冷蔵庫の豆腐が消費期限間近だったので、冷凍しておいた牛肉と合わせて「肉豆腐」をつくることにする。 ベースの煮汁は例によって「めんつゆ」でつくり、やはり冷蔵庫にあった玉ねぎ(半分)とえのきを適当に切って入れ、牛肉を入れてほぐし、豆腐を入れて煮…

漢詩でララバイ

二十代の頃、ちょっと荒んだ生活をしていた時期がある。 といっても悪い事をしていたわけではなく、ほとんど無職でぶらぶらしていただけなのだが。 その頃の一日はだいたい午前10時とか11時ぐらいから始まる。とりあえず飯を食ったら、さて、今日は何をして…

ときどき何を書いていいかわからなくなる

……という状態になることがあって、実はいまがそうなのだ。 「スランプ」と言いたいところだが、スランプというのは調子がいい時があってのことなので、このブログには当てはまらないような気もする。 「何を書いていいかわからない」というのは、別の言い方…

「草とり」

ぼんやりラジオを聴いていると、徳冨蘆花の「草とり」という随筆の朗読があった。 気になって調べると、「青空文庫」に入っていたのであらためて読んでみる。(以下、引用は青空文庫版。ただし、仮名遣いや表記は適宜変更した) 六、七、八、九の月は、農家…

この本(本好きのための童謡)

本好きのための童謡です。 童謡「この道」(作詞・北原白秋、作曲・山田耕筰)のメロディにのせて読んでください。(「この道」がピンとこない人は、下の方に曲を引用しているので参照してください) では、どうぞ。 この本は いつか読む本 ああ そうだよ だ…

人まかせ

前回、ショーン・バイセル『ブックセラーズ・ダイアリー』という本について書いた。 著者はスコットランド最大の古書店「ザ・ブックショップ」の店主なのだが、その店でちょっとおもしろいサービスを行なっている。 それは「ランダム・ブッククラブ」という…

スコットランド古本屋日記

ショーン・バイセル『ブックセラーズ・ダイアリー スコットランド最大の古書店の一年』(矢倉尚子訳、白水社、2021)という本を読んでいる。 2001年のクリスマス。著者が帰省で実家があるウィグタウン(スコットランド南西部にある小さな街)に戻ったとき、…

いまそこにある危機

ついにというか、とうとうというか、私の職場でもコロナの感染者がでた。 昨日、久しぶりに隣の市の大型書店に行って至福の時間を過ごしていたら、ポケットの携帯が鳴った。会社からだった。 会社に限らず、日頃私に電話がかかってくることはめったになくて…

イワシの梅煮

休日。 午前中に銀行に行って、そのままスーパーで買い物。 最近すっかり夏バテなので、今日はとりあえず肉を食べようと思っていたのだが、鮮魚コーナーで小イワシが10尾98円で売っているのを見かけて立ち止まる。や、安い。 これを3食分とすると1食あたり約…

運まかせ

例によって例のごとくブックオフを徘徊していると、文庫棚の近くにこんなものが売られていた。 たしか「お楽しみセット」みたいな名前がつけられていたと思う。文庫本2冊で300円である。同様のものが20個ぐらい平積みしてあって、すでにいくつか売れているよ…