何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

未明の臭撃

ぼんやりと目が覚める。 まだ暗い。何時だろう? トイレ……じゃない。なにか変な気配がする。その時、耳元でブーンという羽音が聞こえたかと思うと、 臭……ッッ‼︎ 思わず『刃牙』風に驚く。 この青臭いにおいはカメムシだ。カメムシが顔のすぐ近くにとまってい…

心頭滅却

「残暑を乗り切る」ということだけれど、こういう時に中高年はよく「心頭滅却すれば火もまた涼し」などとなぜか得意げに言って若者に疎まれる。 しかしこの「心頭滅却」、そう簡単にできるものではない。 「心頭滅却」とは、わかりやすく言えば、心や頭の中…

かゆいもの見たさ

人は、それを見ると恐怖や不安、不快を感じるとわかっているのについつい見てしまう、ということがある。いわゆる「こわいもの見たさ」というやつだ。これを心理学では……何と言うのか知らないが、とにかくそういうものがある。 今の季節にピッタリの椎名誠の…

屋根が欲しい

18歳で車の免許を取ったのだが、車には乗らず、ずっと原付に乗っている。 で、いまさらこんなことを言うのもアレなんだが……屋根が欲しい。 バイクの最大の敵は雨である。 これさえなければ、こんなにいい乗り物はほかにないと思っている。 雨の時は当然カッ…

小銭を拾いに

私は過去に一度だけ、お金を拾いに行ったことがある。 独り暮らしをしていた二十代の一時期、私はどうしても働きたくなかった。 といって、別に多額の貯金があるわけではなく、ましてや不労所得がある身分でもない。わずかばかりの貯金を使い果たした後は、…

24時間耐久『ガラスの仮面』

この三日間、ずっと『ガラスの仮面』を読んでいた。 ことの起こりは一昨日のこと。 何気なくYahoo!を見ていたら、期間限定でデジタル版の『ガラスの仮面』の1巻から24巻までが無料とある。最初の数巻を無料にするのはよくあるが、24巻というのは大盤振る舞い…

仙人になりたかった

若い頃、私は仙人になりたかった。 いきなり何言ってんの、この人? と思うかもしれないが、大丈夫、気は確かだ。 順を追って話そう。 大学に入った当初というのは、みんなどこかちょっと不安定なところがある。 これから始まる新しい生活に対する期待や不安…

ブラックモンブラン

……と聞いてピンとくる人は、九州にゆかりのある人だろう。 「ブラックモンブラン」は佐賀県の竹下製菓が作っているアイスクリームで、主に九州で販売されている。(関東・関西では特定の店のみ扱っているらしい) 50年以上の歴史を持つロングセラーで、九州…

青田の風景

自分から望んでやっている田舎暮しではないので、ときどき今の生活が嫌になる。 ちょっとしたことで不満や不安が首をもたげて、ここではないどこか、もう少し都市に近いところで生活したくなる。 正直に言えば、あまり田舎が好きではないのだ。 とはいえ、何…