何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ときには迷子のように

梅雨の中休みのような天気のいい休日、いつものようにブックオフに行った。 今回行った店舗は家から(バイクで)1時間半ぐらいのところなのだが、この日はちょっと都合があって、家を朝の7時に出なければならず、普通に行っても開店の10時よりぜんぜん早い時…

絵葉書を読む(その7) 関東大水害

『絵葉書を読む』第7回。今回の絵葉書はこちら。 『(明治四十三年八月東京大出水之実況)本所割下水附近』 明治43年8月中旬。 梅雨前線と2つの台風の影響により、関東地方は集中豪雨にみまわれた。 この豪雨によって、関東地方全体で死者769人、行方不明者…

本と善意

ヘレーン・ハンフ編著『チャリング・クロス街84番地 増補版』(江藤淳訳、中公文庫、2021)が出たので読んだ。 たしか四半世紀ぐらい前に旧版を読んでいるはずだが、細かいところは忘れていたので、新鮮な気持ちで読むことができた。 著者のヘレーン・ハンフ…

一人称

ブログを始めた時からずっと「私」という一人称を使っている。 とくに理由があったわけではなく、自然とそうなったのだが、ほかの人の文章を読んでいると、別の一人称の方がよかったのかなと思うことがある。 たとえば男性なら「僕」や「俺」というのがある…

退屈な「便利」、楽しい「不便」

以前から気になっていた稲垣えみ子『寂しい生活』(東洋経済新報社、2017)という本を読んだ。 タイトルからしてなにか他人事ではないような気がしていたのだが、しかし、予想していた内容とはだいぶ違っていた。 この本は、現代人にとって「豊かさ」とは何…

タケノコホリデー

家の敷地の中に小さな竹藪があって、春になるとタケノコが出てくる。 なので先月(4月)の中旬にタケノコ掘りをした。 こう書くとなんだか田舎暮らしを楽しんでいるように見えるかもしれないが、そうではない。これは人間と竹の生存領域を賭けた戦いなのであ…

私に気づいて(草の名前・その5)

毎年書いているような気もするが、庭の雑草がえらいことになっている。 そろそろなんとかしなければならないのだが、これっぽっちもやる気が出ない。 それにしてもまあ、毎年毎年よく生えてくるものだ。こうして好き放題に伸びる雑草を見ると、地球上で一番…

君はどこにでも行ける

いま、毎週楽しみにしているアニメがある。 『スーパーカブ』 この春に始まった作品なのだが、このアニメ、はっきり言ってとても地味なのだ。 物語の舞台は山梨県北杜市。父親はすでに亡く、母親に失踪された小熊(こぐま)は、アパートで一人暮らしをしなが…