何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

タバコ算

たとえば本を買うのに少しまとまったお金(といっても数千円だが)を使うとき、なぜか自分に対して言い訳を考えてしまう。 「ほら、あれだよ? この全集がこんな値段で出てることはまずないよ? ここでスルーしたら絶対ほかの人が買っちゃうよ? 今度は積ま…

同人誌がある生活

前回読んだ川崎昌平『労働者のための漫画の描き方教室』の姉妹編ともいうべき本がこちら。 川崎昌平『同人誌をつくったら人生変わった件について。』(幻冬舎、2019) この本は『労働者の……』と違って物語になっている。 主人公はデザイン会社に勤務するA子…

「労働者よ、ペンを執れ!」

なんだか昭和初期のプロレタリア文学みたいなタイトルだが、これは川崎昌平『労働者のための漫画の描き方教室』(春秋社、2018)という本の帯に書いてある言葉だ。 あなたは今の自分の労働にやりがいを感じているだろうか? もしそうではなく、ただ日々の労…

バサの話

先日、スーパーで魚の切り身を買った。 照り焼き風の味付けがされていて、フライパンで焼くだけのやつだ。よくある加工品だけど、商品表示のところに見慣れない言葉があった。 白身魚(バサ) 原産地ベトナム バサ? サバなら知ってるけど、バサって何? 困…

とらぬ狸の古本屋

前回の記事で「本好き、古本好きの人なら、一度は自分で古本屋をやりたいと思ったことがあるかもしれない」と書いた。 では私はどうかといえば、もちろんやってみたいとは思う。しかしそれは現実的な計画や目標ではなく、夢想や妄想として思い描いているだけ…

本があって、人がいて

片岡喜彦『古本屋の四季』(皓星社、2020)を読んでいる。 片岡さんは神戸市にある「古書片岡」の店主。10年前、定年退職を機に古本屋を開業した。この本はその10年間の軌跡を綴ったもので、片岡さんが同人になっている雑誌に発表してきた文章が元になってい…

赤とんぼ

『赤とんぼ』という童謡がある。 夕やけ小やけの 赤とんぼ おわれてみたのは いつの日か 誰でも一度は聞いたことがあると思うが、実は私はこの歌詞を長い間勘違いしていた。 「おわれてみた」の部分を、「追われてみた」だと思っていたのだ。 正しくはもちろ…