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何を読んでも何かを思いだす

あてのない読書、あてにならない感想、その他。

ときには迷子のように

 

梅雨の中休みのような天気のいい休日、いつものようにブックオフに行った。

今回行った店舗は家から(バイクで)1時間半ぐらいのところなのだが、この日はちょっと都合があって、家を朝の7時に出なければならず、普通に行っても開店の10時よりぜんぜん早い時間に着いてしまう。なので、途中で適当に時間を潰さなければならない。

しかしこんな時刻に時間を潰せる場所はコンビニぐらいしかなく、無駄に2、3軒立ち寄ってコーヒーを飲んだり立ち読みしたりしたのだが、それでも9時ごろには目的のブックオフの近くまで来てしまった。

 

さて困った。あと1時間潰さなければならない。もういいかげんコンビニにも飽きたし。

そこでふと、ブックオフを通り過ぎて、その「先」に行ってみようと思った。

この店舗に限らず、ブックオフに行ってもその近所を見てまわることはほとんどない。目的は常に本であり、その目的以外のことに時間を費やす余裕はない。

しかし今日は逆に時間がありすぎる。いつもと違うことがしたくなった。

 

大きな池がある公園を左に見ながら、坂になった大通りを上り、上りきった所にある交差点を右折すれば、右手に目的のブックオフが見えてくる。今日はその前を通り過ぎ、その「先」に進む。

道は少し細くなり、さらに上り坂になっている。適当に道を選んで進んでいるのだが、どの道も基本的に上り坂だ。いったいどこまで上るのだろう。

おまけに道は曲がりくねっていて、なんだか立体的な迷路にでも迷いこんだような気になる。

この辺りはほぼ住宅地で、マンションのような集合住宅もあるが、一戸建ての方が多い。当たり前だけど、この一軒一軒に私の知らない人が住んでいて、それぞれの生活を営んでいる。それがなにか不思議なことのように思える。

こんなに坂ばかりの所に住むというのは、どんな感じなんだろう。「足」が徒歩や自転車では、とてもじゃないが住めないような気がする。

原付ではちょっと厳しいのではないかと思えるような、勾配のきつい坂もある。

ふと、漫画(アニメ)のスーパーカブの中で、主人公の友だちで同じ「カブ乗り」の礼子が言っていたことを思い出す。

カブの1速は

日本中のあらゆる坂を

登るためにあるんだって

私の原付はカブじゃなくて「トゥデイ」だけど。 

 

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[原作]トネ・コーケン[漫画]蟹丹[キャラクター原案]博(角川コミックス・エース) 

 

ようやく道が下り坂になる。

曲がりくねった急な坂を少し緊張しながら下りていく。カーブの向こうからいきなり車が現れてドキッとする。

だいたいの方向を考えて、ブックオフがある方に近づくように道を選ぶが、結局ずいぶん遠回りをしてたどり着いた。

でもなんだか楽しかった。

知らない道を上ったり下ったり、ただそれだけのことなのに。

 

ちょっとした思いつきでやったことだけど、迷子にならなくてよかった。

いや、迷子になりたかったのかもしれない。

いまはスマホがあるから、よほどのことでもない限り、知らないところでも迷子になることはないだろう。(もっとも私はガラケーで、しかも電話専用に設定してあるけど)

人はもう道に迷うことができなくなったのかもしれない。

だからときには知らない場所で迷子気分を味わいたくなる。

もちろん本気で迷子になりたいわけではなくて、もとの「日常」に戻れることが前提の、たあいもない遊びに過ぎないのだが。