何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

私に気づいて(草の名前・その5)

 

毎年書いているような気もするが、庭の雑草がえらいことになっている。

そろそろなんとかしなければならないのだが、これっぽっちもやる気が出ない。

それにしてもまあ、毎年毎年よく生えてくるものだ。こうして好き放題に伸びる雑草を見ると、地球上で一番強い生物は結局植物なんじゃないかと思えてくる。

 

そんな一面の緑の中に、少しだけ赤っぽい色を見つける。

近くで見ると、葉っぱの一部が「紅葉」している雑草がある。

 

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ネットで調べてみると、この植物はアメリカフウロというらしい。

名前の通り北アメリカが原産地で、日本に入ってきて定着した帰化植物である。雑草にはよくあるパターンだ。

アメリカ産でフウロソウ科フウロソウ属の植物だからアメリカフウロ。ちなみにフウロソウは漢字で書くと「風露草」。漢字だとちょっとかっこいい。

 

花は小さくて目立たず、あまり特徴がない。(画像は省略)

それよりもやはりこの葉の形と色がおもしろい。緑色の葉の、ギザギザの先端だけ赤くなっているのがいい感じだ。

形がおもしろいといえば、花の後にできる種も変わっている。

 

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(画像は少しボケてしまったが)花の後に柱状の突起と、その根本に球状の部分ができて、種はこの球に入っている。

緑だったものがやがて黒くなり、球がはじけて種が飛び散って、その後には柱だけが残る。

 

しかし、このアメリカフウロに関して、私が一番印象的だったのは、実はその「花言葉」なのだ。

アメリカフウロ花言葉は、

 

「誰か私に気づいて」

 

なんとも切ない花言葉ではないか。 

 

考えてみれば、この言葉は、アメリカフウロだけでなくすべての「雑草」についていえることかもしれない。

「雑草」という言葉は、いろいろな植物をひとまとめにして「その他大勢」と言っているのに等しい。一つ一つの植物を、それぞれに認識している人は少ないのではないかと思う。

目の前にあっても認識されない植物。どこにでもあるのに誰も知らない花。「雑草」とはそういうものだろう。

傍若無人に繁茂しているように見える「雑草」も、本当はこう思っているのかもしれない。

「誰か私に気づいて」と。

 

もっとも、こんなことを考えるのは感傷的な人間だけで、当の植物は人間に認識されようがされまいが、自分の生命をまっとうするだけなのだが。