何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

イチゴ狩り(草の名前・その6)

 

毎年毎年同じようなことを書いて恐縮だが、庭の雑草がえらいことになっている。

よくもまあこんなに飽きもせずに毎年生えてくるものだと思う。

しかしその雑草も、よく見ると毎年まったく同じというわけではない。それぞれの植物の勢力圏というか、生える場所や面積が微妙に変化している。

 

今年うちの敷地で勢力圏を拡大したのがこの白い花だ。

 

 

これは4月に撮った画像なのだが、この白い花が広い範囲で咲いていた。

この植物の名前はクサイチゴ(草苺)である。

名前はクサイチゴなのだが、実際は「草」ではなく「木」に分類される植物らしい。本州から南ではどこにでも見られる、ありふれた雑草である。

この白い花が一面に咲いているとなんとなく幻想的な感じさえするのだが、その可憐で清楚な花に似ずおそろしく生命力が強い。雑草にはよくあるギャップだ。

そしてイチゴの仲間であるからには、花のあとにこんな実をつける。(5月上旬の画像)

 

 

というわけで、「イチゴ狩り」をしてみた。

 

 

全体的に小粒な感じなのはまだ少し時期が早かったからか。

しばらく水にさらした後で食べてみた。

酸味はまったくなくて、ほんのりとした甘さがある。たしかにイチゴの味だ。もう少し待てばもっと甘くなるのだろう。もっといっぱい集めてジャムとか作ったらおもしろいのかもしれないが、そこまでガツガツしなくてもいいか。

 

こうやって自然に自生しているものを採って食べると、DNAに刻まれた農耕以前の採集生活の記憶がよみがえってくる……ことは、さすがにないが、いつも悩まされている雑草からささやかなプレゼントをもらったようでちょっと嬉しい。

まあ、だからといってこのまま放置しておくわけにもいかないけれど。