何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

心は孤独な(本の)狩人

 

今年もブックオフのウルトラセールに行ってきた。

半日かけて3軒の店舗をまわったものの、成果としてはいまひとつだった。前から狙っていた本は買えたけれどその他の収獲はパッとせず、少しばかり徒労感が残る結果になった。

もっともこの結果は店の品揃えの問題だけではなく、私自身の気分の問題でもある。家の中の惨状を見るにつけ、さすがにこれ以上積読を増やすわけにはいかないという気持ちに(いまさらながら)なっていて、それが心理的なストッパーになって少し買い控える気分になっていたのだ。(買ったけども)

それに加えて、最近ある作家の選集を買おうかどうかと迷っていて、買うんだったら少し出費を抑えておかなければならないという懐事情もある。(買うんだろうけども)

そんな理由であまり積極的に買えなかったのだが、しかしまあ、結果はともかくやっぱりブックハントは楽しい。

 

ブックオフといえば、最近こんな漫画を読んだ。

大石トロンボ『新古書ファイター真吾』皓星社、2023)

 

 

これは新古書店で古本を買うのが趣味(生きがい?)という青年が主人公の「古本あるある」漫画である。

新古書店というのは、従来の古書店と違って「新刊書店のような広くて明るい店内」「最近の本が中心の品揃え」といった特徴を持つ古書店のことで、まあ簡単に言えばブックオフのような店のことだ。従来型の古書店に馴染みがない人は、古書店ブックオフと思っているかもしれない。

この漫画の中でも、ブックオフ(作中では「ブックエフ」)を主戦場にしている主人公が普通の古書店に対して敷居が高くて入れないというエピソードがあって、私も「ああ、それな! わかるわかる」と思った。ブックオフに慣れてしまうと、確かにそんな感じになる。

ブックオフ好きには共感できる漫画だ。

 

ブックオフの一番の魅力はなんといっても均一本の多さだろう。従来の古書店も店頭に均一本を置いているところが多いが、ブックオフの量は圧倒的だ。(もちろん質はそれなりだが)

その大量の均一本を丹念に見て、そこに探していた本やおもしろそうな本を発見するという過程には「宝探し」の楽しみがある。いや「宝探し」というより、何度も川底をさらって砂の中から砂金を探す地道な「砂金取り」のイメージの方が近いかもしれない。いずれにしてもそこには本を探す楽しみがある。

ただ欲しい本を手に入れるだけならネットで検索したほうが早くて合理的だが、本を探す楽しみはやはり実店舗に足を運ばなければ味わえない。

 

しかしそんなブックオフも最近ではあまり景気のいい話を聞かない。

ネット販売の方はわからないが、店舗の方は売り上げが減少していて、閉店も増えているという。

店の中も本のスペースが縮小されて、トレーディングカードやフィギュアなどの売り場が広がっていく傾向にある。それで売り上げが増えればいいのだが、本好きとしてはちょっと複雑なところだ。

いまでは本好きに欠かせないインフラ(?)なので、なくなってもらっては困る。

まあ私にできることといえば、たくさん本を買うことぐらいだけれど。(結局それか)

今年もこんな感じで。