何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

コンビニコミック

 

先日、コンビニで漫画のラックを見てちょっと驚いた。

『ワンピース』のコンビニ版(廉価のペーパーバック)が出ていたのだ。

もちろん『ワンピース』は現在も連載中の人気漫画である。普通のコミックス(単行本)もまだ生きているはずだ。それなのに(初期のエピソードとはいえ)コンビニ版が出るなんて、まだ早いと思ったのだ。

しかし考えてみれば『ワンピース』が始まったのが1997年、もう24年前のこと。四半世紀前の漫画だと思えば、コンビニ版が出てもおかしくないか。

それにコミックス自体は生きているとしても、1巻から全部棚に並べている書店というのは多分ないだろう。(ちなみに現時点で既刊100巻)いくら人気でも普通の書店にそんなスペースはない。

だとすれば、初期だけコンビニ版にして流通させるというのもアリか。

 

それにしても、このコンビニ版(コンビニコミック)というのは商品としてすっかり定着している。

私の若い頃にはなかったような気がするが、いったいいつからこういう形の本を見るようになったのだろう。

ネットでざっと調べてみると、ペーパーバックの漫画本自体は以前からあったのだが、今のようにコンビニを主要な販路として出版されるようになったのはここ20年ぐらいのことらしい。そう言われればそんな感じもする。

 

私は最初、このコンビニ版というものが嫌いだった。

粗雑で安っぽく、いかにも「読み捨て」を前提としているように思えたからだ。表紙に直接惹句(宣伝文句)が印刷されているのも嫌だし、裏表紙に普通の広告が載っているのも嫌だ。単行本と雑誌の中間のような、なんとも中途半端な出版物のように思えた。

しかし最近では少し考え方が変わった。

いわゆる過去の「名作」を手軽で読みやすい形で出版してくれるという点では、これもアリかもしれないと思うようになったのだ。

実際私も、例えば手塚治虫のアンソロジーで、それまで知らなかった手塚のダークな短編を知ったり、石ノ森章太郎の時代物の良さを知ったりした。

 

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こういうのは普通の書店の棚に単行本の形で並んでいても手に取らなかっただろう。

コンビニでパラパラっと見て、まあ試しに読んでみるかと、気軽に買って読んだのだ。値段も安いし。

そういうハードルの低さがコンビニ版のいいところだ。

この形でいいから、もっと古い「名作」を出してほしいと思う。

 

それにしても、『ワンピース』が24年か。

ついこの間始まったばかりのような気がしていたのだが。

歳をとるはずだ……。