何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

運まかせ

 

例によって例のごとくブックオフを徘徊していると、文庫棚の近くにこんなものが売られていた。

 

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たしか「お楽しみセット」みたいな名前がつけられていたと思う。文庫本2冊で300円である。同様のものが20個ぐらい平積みしてあって、すでにいくつか売れているようだった。

 

本というのは個人の趣味嗜好が強く出るものなので、こういう福袋的な売り方には向かない商品だ。

それに、こう言っては悪いけれど、どうせたいした本は入っていないだろうと思った。

たぶん少し前に話題になったようなエンタメ系の本で、店の在庫がダブついているのでなんとか売ってしまおうという店側の苦肉の策ではないのか。

間違っても硬派な本、例えば岩波文庫講談社の文芸・学術文庫あたりが入っていることはないだろう。

 

と思ったにもかかわらずこうして買ってしまったのは、中を確かめたいという好奇心もあるけれど、ブログのネタになると思ったからだ。

ブログを始めて以来、行動の基準に「ネタになるかどうか」という要素が加わってしまった。困ったものだ。

 

で、実際に開けてみたところ……二人の女性作家の小説が入っていた。

二人とも、名前は聞いたことがあるが読んだことのない作家だ。最近の小説をあまり知らない私でも知っているのだから、人気がある作家といっていいのだろう。本はどちらも今から6、7年前に刊行された文庫で、状態はいい。(本当は画像を見せて「こんなのが入ってました!」と言うつもりだったのだが、現役の作家の、今も新刊で入手できる本だったので、堂々とブックオフで買ったとは言いにくい)

カバーに書かれている文章から、一方は長編の恋愛小説で、もう一方は地方を舞台にした短編集だとわかる。

なんとなく若い女性を意識したセレクトのような気がする。

 

ちょっと「はずれ」かな、というのが正直な感想。

もちろんその作家が「はずれ」という意味ではなくて、 自分が普段読まないようなタイプの本だったことに対する「はずれ」である。

しかし、たまにはこういう自分の趣味嗜好からはずれた本を読むのもいいかもしれない。

好きな作家、好きなジャンルの本ばかり読んでいると、どうしても視野が狭くなる。読まず嫌いというのもよくあることだ。なにがきっかけで新しい世界が開けるかわからない。

そういう意味では、こんなふうに「運まかせ」で本を買うのもありかもしれない。

 

できるだけいろいろな本を読んでみよう。

本は読んでみなくちゃわからない。