何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

おしるこ、ダウンジャケット、冬の詩

 

昨日、仕事の帰りに本屋に寄って、ちょっとコーヒーでも飲もうかと自販機の前に立つと「おしるこ 」が登場していた。

今年ももうそういう季節になったのかと思う。(自販機のメニューで季節を感じるのもどうかと思うが)

私はこの缶のおしるこが好きで、冬の自販機ではたいていこれを選んでしまう。カロリーが高いのは気になるけれど、どうも誘惑に勝てない。

 

寒くなってきたので、そろそろ冬服の心配もしなくてはならない。

いままで着ていたダウンジャケットはもういいかげん色が褪せていて、あまり着る物に構わない私でもさすがにちょっと恥ずかしいレベルになっている。

次の休日にでも見に行ってみるか。

でも結局買わないような気もする。いつも服にお金を使うのを渋ってしまい、残念な服ばかり着ている。

 

ダウンジャケットといえば、高村光太郎「冬の詩」という詩を思い出す。

10年ほど前、ユニクロのダウンジャケットのCMで引用されていたので知った詩だ。とてもかっこいいCMだった。

 

  冬だ、冬だ、何処もかも冬だ

  見わたすかぎり冬だ

  再び僕に会ひに来た硬骨な冬

  冬よ、冬よ

  踊れ、叫べ、僕の手を握れ

 

引用されていたのはこの冒頭の部分で、詩全体はけっこう長いものだ。

空虚な憂鬱を吹き飛ばし、甘い感傷を薙ぎ払うような冬の厳しさと力強さ。その凄烈な冬を心地よく感じる詩人の精神の強さ(あるいは強くありたいという気持ち)が表現されている(と思う)。

暑さは精神を弛緩させるが、(適度な)寒さは精神を引き締めてくれる。

 

  つきぬけ、やり通せ

  何を措(お)いても 生(いのち)を得よ、たつた一つの生を得よ

  他人よりも自分だ、社会よりも自己だ、外よりも内だ

  それを攻めろ、そして信じ切れ

 

熱い。冷たいけれど熱い詩だ。

克己心というか、己を奮い立たせるような気概が感じられる。

 

  魂をきたへろ、肉をきたへろ

  冬の寒さに肌をさらせ

 

私も寒いからといって家の中でダラダラせずに、外で乾布摩擦でもするか。嘘です。

(いまの若い人は乾布摩擦とか知らないかな)

   

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今週のお題「急に寒いやん」……ていうか、なんで “ やん ” ?