何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

路上の短歌

  

私は基本的にバイク(原付)移動なのだが、バイクに乗っている時間はいろいろな考え事をするのに適している。

まあ、考え事といっても私のことだから、取るに足らないどうでもいいことが大半だ。今夜なに食べようかなーとか、来月の岩波文庫なんだっけとか、『バガボンド』どうするんだろうとか、そんな取り留めのないことが浮かんでは消えていく。

運転に必要な注意力はキープしたまま、その一方で流れるままにいろいろな想念が浮かんでは消えていくのにまかせている状態というのは、何もしないでただぼうっとしている時よりもリラックスできているような気もする。

 

f:id:paperwalker:20201117220533j:plain


そんな考え事の延長のように、ごくたまに、短歌(のようなもの)を作ってみたりする。

頭に浮かんだことや目に映ったものを「五七五七七」の形にして、言葉をあれこれ入れ替え、しっくりくる表現を探して形を整えていくのは(たまにやると)頭のストレッチのようで気持ちいい。

できたものは一応メモしておくが、とくに人に見せるようなものではない……つもりだったのだが、せっかくブログをやっているのだから、ついでに書き残しておこうと思う。

短歌といっても、先生のような人に見せて添削してもらったこともなく、結社に入って人と切磋琢磨した経験もない、我流というか、見よう見まねの素人芸だ。人に見せるのに、ちょっと気後れしないでもない。

しかしまあ、そんなこと言ったらこのブログ自体が素人芸なのだから、いまさらということになるのだが。

 

 

「路上風景」

 

たどたどしくスキップをする幼な子が

わたしの前を通りすぎていく

 

よりそって歩道を歩く恋人たちの

つながれそうでつながれない手

 

工事中

誘導員の日焼けした憮然たる顔

風は冷し

 

女生徒が並んで自転車押しながら

話しもせずに帰る夕暮れ

 

早朝にジョギングをする青年の

Tシャツのプリント 背に「下剋上