何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

夢の中の短歌

 

明け方、こんな夢を見た。

 

体育館のようなところにいる。

その真ん中に折りたたみの長机が2つ置いてあり、人が5人ずつ向かい合って座っている。私は一番端にいる。

何かのイベントみたいだが、観客・聴衆はいない。

とうとつに司会のような人が現れて、説明を始める。

どうやらこれは短歌を作る会合らしい。

今回は趣向を変えて、5人で1つの短歌を作ります、と司会は言う。2組それぞれ5人のリレー形式で五七五七七の一首を作る。短歌というより連歌みたいなものか。そうしてできた短歌の優劣を競うという遊びだ。(誰が判定するのかはわからない)

まずは1回戦ということで、とりあえず今座っている順番で作ることになる。私は末席に座っているので、アンカーというか、結句の担当になる。

なんだか難しそうだなあと思う。

実は私はそこそこ名前を知られた小説家で(という設定に突然気づく)、短歌に関しては素人だ。他の9人はこの短歌の会(結社?)に所属している。今回はゲスト参加という形でこの会合に呼ばれている、らしい。

最初のお題は「手紙」です、と司会は言う。

では始めてください。

 

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私はアンカーなので、前の人たちが作ってくれないことにはどうしようもない。だから机に着いたままじっと待つ。

しかし、待てど暮らせどいっこうに順番が回ってこない。

どうしたのかと様子を窺うと、まだ最初の人がうんうん唸っている。やれやれ、いつになったら私の番になるのか。なぜか机の長さも倍に伸びている。隣の4番目の人は痺れを切らしてタバコを吸いに行った。

あんまり手持ち無沙汰なので、先に自分一人で一首作ることにする。

テーマは「手紙」……。すっと頭に歌が浮かんでくる。

 

桜咲きやがて散りゆくはなびらは

春の便りの前略草々

 

できた、と思ったところで目が覚めた。

 

最近短歌に興味があるので、こういう夢を見ることは不思議ではない。

しかし、夢の中で詠んだ短歌を目が覚めた後も完全に覚えているというのは珍しい。いつも夢自体を忘れてしまうのに。明け方の夢だったからだろうか。

夢の中のことだから、オリジナルではなく昔読んだ誰かの短歌や詩や小説がベースになっている可能性もあるけれど、ちゃんとそれっぽい短歌に仕上がっている、ような気がする。(まったく季節はずれだけど)

ひょっとすると、夢の中のほうが頭冴えてる?