何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

吸血鬼

 

5、6歳ぐらいのことだったと思うけれど、3日続けて同じ夢を見たことがある。

「怖い夢」だった。

 

私はいつものように幼稚園に行った。

教室に入って友だちの顔を見ると、なんだか様子がおかしい。

そのとき突然、友だちがみんな吸血鬼にされていることに気づいた。

私は逃げた。友だちが追ってくる。噛まれれば私も吸血鬼にされてしまう。

どこをどう逃げているのかわからないが、必死で逃げた。しかしだんだん追い詰められる。もう駄目だ。そのとき、ふと、こんなことを思った。

もう噛まれてもいいんじゃないか? 噛まれれば吸血鬼になるけれど、何か問題があるだろうか? 友だちもみんな吸血鬼なんだから。

とうとつに行き止まりになった。振り返ると、みんながじわじわとこちらに迫ってくる。そして……。

 

f:id:paperwalker:20200819101742j:plain


ここで場面が一転する。

グラウンド(のようなところ)で、私は友だちと一緒に仲良くサッカーだかドッヂボールだかをやっている。みんな笑っていて楽しそうだ。

どうやら事件は終わったらしい。よかった。めでたし、めでたし……なのだが、これはいったいどういう終わり方なのだろう。

誰かが吸血鬼のボス的存在(夢には出てこない)を倒して、みんなが人間に戻れたのだろうか?

それとも、私が噛まれて、みんなと同じ吸血鬼になったのだろうか?

 

 今週のお題「怖い話」