何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

2019-01-01から1年間の記事一覧

どうでもいい、とは言えなかった

今週のお題「アイドルをつづる」 私が小学生の頃の国民的アイドルといえばピンクレディーだった。 テレビで彼女たちを見ない日はなく、学校でもいつも話題だった。しかも「ミーちゃん派」と「ケイちゃん派」というのがあって、どちらが好きかを表明しなけれ…

本とブログと男と女

忘れてしまいたい事や どうしようもない 寂しさに 包まれたときに男は 本を読むのでしょう 読んで 読んで 読まれて 読んで 読んで 読みつぶれて眠るまで 読んで やがて男は 静かに眠るのでしょう 忘れてしまいたい事や どうしようもない 悲しさに 包まれたと…

「後悔しない決断」なんかない

性格がネガティヴなせいなのか、私は「決断」の後にはたいてい後悔する。 私ももう短くはない人生を生きてきたので、いくつかの局面で大きな決断をしなければならないことがあった。 そんな時、周りの人たちは口々に「後悔しないように決めなさい」という。 …

姉と弟

私には歳の離れた姉が2人いる。 2人とも地元の高校を卒業して就職した。 一番上の姉はどう思っていたのか分からないが、二番目の姉は大学に進学したいと思っていた。しかし家の事情でそれは叶わなかった。家の事情というのは、つまり私のことだ。 私は3人姉…

母の手料理

私は母の手料理を食べた記憶があまりない。 私の家はいわゆる兼業農家で、父も母も農業のほかに仕事に行っていた。二人とも土木建築現場のハードな仕事だった。 家事全般は祖母がやっていた。もちろん料理もそうだ。私は祖母の料理を食べて育った。 祖母が高…

さよなら、孔雀

仕事から帰ってネットを見たら、いきなり『孔雀王』の荻野真さんの訃報にぶつかった。 www.oricon.co.jp 『孔雀王』は、裏高野の「退魔師」孔雀が、密教で得た力を使って妖魔を倒し、仲間と共に世界を救う物語だ。(大雑把!) 『ヤングジャンプ』に連載され…

本の街

先日、ネット書店をうろうろしていたらこんな本を見つけた。 アレックス•ジョンソン『世界のかわいい本の街』(井上舞訳、エクスナレッジ、2018) 「かわいい」というのは違うと思うが(なぜこの言葉を選択したのか、理解に苦しむ)素敵な本だと思う。 始ま…

春の仕事

今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」 この10連休は、半分は仕事で、休日も飛び石的だったので、特に何もしていない。 いや、仮に10日フルに休めたとしても、たぶん何もしなかっただろう。 最近では特別なことをするとすぐに疲れてしまう。だからもう「普…

料理は「女子力」ではなく、「人間力」です

20代の頃はかなり太っていて、不健康が服着て歩いているようなものだった。 30代の頃に、ちょとした思いつきでダイエットしてみたら、これが本当に痩せてしまった。 40代に入り、生活環境の変化などで少しリバウンドしたものの、今のところは「ちょっと太め…

懐かしい未来

ロンドンの地下鉄に「短篇小説の自動販売機」が設置された、というニュースを読んだ。 courrier.jp ボタンを押すと、レシート状の長い紙に小説が印刷されて出てくるらしい。1分から5分で読めるというから、短篇というよりショート・ショートのようなものか。…

【おまけ】「勇気をください」

前回読んだ『ビヨン・ボルグ 我がテニス』(後藤新弥訳、日刊スポーツ出版社、1980)の奥付に、こんな文章があった。 奥付や巻末に「ご意見、ご感想をお寄せください」といった出版社のメッセージが掲載されるのは珍しくないが、「勇気をください」って……。 …

真剣に、だが深刻にはなるな

40年ほど前に『ジャンプ』で『テニスボーイ』(寺島優、小谷憲一)という漫画が連載されていた。 私は特にテニスに興味があったわけではないが、その漫画がすごく好きだった。いわゆるスポ根とは違っておしゃれな感じで(特に女性キャラが)、それでいてとて…

あの日に帰りたい?

今週のお題「平成を振り返る」……ということだが、正直なところ、あまり振り返りたくない。 平成の前半ぐらいの間、私はフリーターをしていた。 学校を卒業した頃はまだバブルの余韻みたいなものがあって、ちゃんと就職しようと思えばできたんだと思う。しか…

次の本につづく

今、荻原魚雷『古書古書話』(本の雑誌社、2019)を読んでいる。 私は荻原さんの書くものが好きで、本はもちろん、ブログ『高円寺文壇』の更新も楽しみにしている。 荻原さんの文章はちょっとテンション低めというか、(失礼かもしれないが)ときどきくたび…

路地裏の古本屋のように

ブログを始めて1ヶ月が経った。 多くのブロガーさんは、始めて1ヶ月とか3ヶ月、あるいは記事が50件とか100件になった「節目」に自分のブログを振り返っているので、私もそうしようと思う。 といっても「数字」は問題にならない。 そもそも記事の件数が少なす…

「今週のお題」に参加してみる

ブログを始めてそろそろ1か月が経つので、前から気になっていた「今週のお題」に参加してみる。(決して自分でネタを考えるのがめんどうになったからではない) 今週のお題「新生活おすすめグッズ」 グッズというわけではないが、私が勧めるのは家計簿をつけ…

挑戦的なリスペクト 〜 荒山徹『徳川家康 トクチョンカガン』

この前読んだ隆慶一郎『影武者徳川家康』の後に、荒山徹『徳川家康 トクチョンカガン』(実業之日本社、2009 / 実業之日本社文庫、2012)を読んだ。 この本の「あとがき」で作者は、 敬愛する隆先生の高みに少しでも迫ろうとの意気込みで書き始めた。(p.561…

紙幣の肖像

どうやら数年後には紙幣の肖像画が変更されるらしい。 肖像画の変更は2004年以来で、新しい肖像として渋沢栄一(1万円)、津田梅子(5千円)、北里柴三郎(千円)が検討されているという。 財務省が作った見本(イメージ)も見たのだが、うーん、いまひとつ…

呪いと読書

ある人からちょっと嫌なことを言われて気が塞いでいる。 言った人に悪気があるわけではなく、むしろ私のために言ってくれたのであり、また言葉の内容もしごく真っ当で常識的なことに過ぎないのだが、それが私を鬱屈とさせている。 「呪いのようだな」と思う…

なんでもないようなモノが、思い出だったと気づく〜「大盛りいか焼そば」

エースコックの「大盛りいか焼そば」が3月をもって生産を終了する、というニュースを聞いて、いささか感慨を覚えた。 「大盛りいか焼そば」は1988年2月に発売された。私はその年の4月に大学に入学し、独り暮らしを始めている。 貧乏な学生だから基本的に自炊…

冗談なのか、本気なのか

ふと、ある言葉を思い出した。 20年ほど前の缶コーヒーのCM。 そのCMには、松田優作の『探偵物語』の映像と台詞が使われていた。その台詞。 「人間てのはさ、なんかこう、冗談だか本気かわからないギリギリのところで生きてるんじゃないかしら」 人生なんて…

歴史を読みかえる〜隆慶一郎『影武者徳川家康』

昨年の暮れから今年の正月の間、隆慶一郎の『影武者徳川家康』(新潮社、1989 /新潮文庫、1993)を読んでいた。 二十数年ぶりの再読だったのだが、これがすごくおもしろかった。充実の読書時間だった。 慶長5年、関ヶ原合戦の当日、徳川家康は西軍の手の者に…

スキマ読書

誰が書いていたのか忘れたが(ダニエル・ペナック?)、読書の時間というのは本来「盗んだ時間」なのだそうだ。 読書をする時間がない、という人は多いが、もともと人間の生活に読書をする時間というものはない。それでも読書がしたいなら、生活のどこかから…

最初のあいさつ

はじめまして。ペーパーウォーカーと申します。 このたびブログを始めるにあたって、口上を述べてみたいと思います。 このブログでは、私の唯一の趣味である「本」についてのあれこれを書いていきたいと思っています。読んだ本の感想はもちろん、本屋や古本…