何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

2020-01-01から1年間の記事一覧

「志村、後ろー!」

志村けんさんが亡くなった。 新型コロナで陽性反応が出ていたことは知っていたが、まさか亡くなるとは考えてもいなかった。 70歳という年齢を考えれば、ありえないことではなかったはずなのだが、想像できなかった。 新型コロナをめぐる問題がどんどん大きく…

人生いもいも

久しぶりに自分でカレーを作ってみようと思った。(最近はレトルトばかりだったので) 冷蔵庫の中を確認し、足りない食材を前日の仕事帰りに買って、休日の今日作る。 ところが、いざ作ろうとすると、ジャガイモが傷んでいることに気づいた。見た目は大丈夫…

短気は損気

まだ二十代の頃、何度か英語で書かれた本を読もうとしたことがある。 しかし、最初の十数ページを読んだだけでことごとく挫折し、結局一冊も読み通すことが出来なかった。 挫折の理由はだいたいいつも同じで、一言でいえば、我慢ができなくなるのだ。 英語の…

必要と工夫

唐突だが、戦争中には多くのスローガン(標語)がつくられた。 その多くは「欲しがりません、勝つまでは」や「ぜいたくは敵だ!」のように、国民に我慢と献身を強いるもので、いま聞いてあまり気持ちの良いものではない。 しかし、その中でひとつだけ、私が…

瓶の中の手紙

今月の17日でブログを開設して1年になった。最初の投稿は、日付をまたいだので18日だ。 ブログには前から興味があったのだが、優柔不断の煮えきらない性格で、しかも超がつくほどのめんどくさがりなので、ずっと保留事項にしていた。それが、何がきっかけだ…

書皮のいろいろ

書店で本を購入すると、「カバーおかけしますか?」と訊かれる。 そのときの気分にもよるけれど、私はたいていかけてもらうようにしている。根が貧乏性なので、タダでもらえる物はとりあえずもらっとけ、というあさましいところがあるのだが、それとは別に書…

昔あった本屋、今ある本屋

昔、私が高校生の頃、学校の近くにアーケードの商店街があって、そこに一軒の本屋があった。 商店街自体がそう大きなものではないので、その本屋も小さな個人経営の店だったが、学校の近くということで私もときどき帰りに寄って本を買ったりしていた。 もっ…

第2回「あいうえお作詩」に挑戦してみる

一ヶ月ほど前、「あいうえお作詩」というものに挑戦してみた。 「あいうえお作詩」とはどういうものかというと、各行の頭を「あ」「い」「う」「え」「お」から始めて詩をつくっていくという、一種の言葉遊びだ。 私はこれを五七五七七の短歌風につくった。…

絵葉書の誘惑

ときどき思い出したようにアンティーク絵葉書を集めたくなる。 何年前のことだろう、NHKの『美の壺』という番組で「アンティーク絵葉書」をテーマにした回があって、それを見て「ああ、おもしろそうな趣味だな」と思ったのだ。 アンティークというのが具体的…

車に乗りたかった頃

何度か書いているように、私は車の免許は持っているが実際には運転していない。いわゆるペーパードライバーというやつだ。 もう30年ぐらいハンドルを握っていないので、いまさら運転しろと言われても怖くてできない。どうしてもその必要があれば、もう一度自…

レトルト

「非常食」として各種のレトルト食品を常備している。 まあ、非常時といっても地震や台風のような本格的な非常時ではなく、体調が悪かったり、気分が重かったりして自分でご飯のおかずを作りたくないとき、その上コンビニやスーパーに弁当や惣菜を買いに行く…

「世界」をつくる

大童澄瞳(おおわら・すみと)『映像研には手を出すな!』(小学館、2016-)がおもしろい。 「芝浜高校」に通う浅草、水崎、金森の3人(のちに音響部の百目鬼[どうめき]が参加)が「映像研」を立ち上げて、自分たちの「最強の世界」をアニメとしてつくり…

署名本

前回、岸部四郎『岸部のアルバム 「物」と四郎の半生記』という本を読んだけれど、その中に、作家の森茉莉とのエピソードが紹介されている。 岸部さんが趣味部屋としてアパートの一室を借りていたことは前回書いたが、その同じアパートに森茉莉が住んでいた…

道楽者

この前、物欲のことを考えていたら、不意にタレントの岸部四郎(時期によっては「シロー」と表記)さんのことが頭に浮かんだ。 そういえばあの人、古書や骨董についての本を書いてたな、と思うとどうしても読みたくなって、「日本の古本屋」で探して注文して…

適度な物欲

普段はロー・テンションで、路傍のお地蔵さまのように静かに生きている私でも、ときどき元気ややる気を出さなければならないときがある。(主に仕事の繁忙期とか) そういうとき、どうやってモチベーションを高めればいいのか、いまいちわからない。 たとえ…

「あいうえお作詩」に挑戦してみる

最近「はてなブログ」で「あいうえお作詩」というものを見かける。 始まりはたぶん、ひかりさんのこの記事から。 arutenaira.hatenablog.com 「あ」「い」「う」「え」「お」と、各文字を行の頭にして詩を作っていくというもので、まあ、詳しくは上の記事を…

『コンビニに生まれかわってしまっても』

タイトルがあまりにも魅力的だったので、つい買ってしまったのがこの本。 西村曜『コンビニに生まれかわってしまっても』(書肆侃侃房、2018) 西村曜(あきら)さんは1990年生まれの女性歌人で、これはその第一歌集だ。福岡の出版社書肆侃侃房(かんかんぼ…

「です・ます」問題

ブログを始めていままでずっと「だ・である」調の文章を書いてきました。(実際には「である」なんてあまり使いませんが) 意識してそうしたわけではなく、自然にそうなったのです。 たぶん私の文章の規範が「紙の本」の文章だからでしょう。「紙の本」はた…

続・明日は我が身

前回の記事で老人は賃貸住宅が借りにくいということに触れたのだが、もう少し具体的なことが知りたいと思っていたところ、こんな本を見つけた。 太田垣章子『老後に住める家がない! 明日は我が身の“漂流老人”問題』(ポプラ新書、2020) 著者の太田垣章子(…

明日は我が身

先日こんなニュースを読んだ。 headlines.yahoo.co.jp 簡単に要約すれば、不動産業者や家主は、一人暮らしの老人に部屋を貸したくないということだ。 一番の問題はやはり孤独死で、すぐに発見されなかった場合や、遺体や遺品の引き取りでもめるケースなど、…

「俺は長男だから……」

いつも利用している動画配信サービスで、いま『鬼滅の刃』を再配信している。 リアルタイムの時には、そのおもしろさに気付くのが遅れて、終わりの方の3、4回しか見ることができなかったので、いま毎日楽しみに視聴している。 漫画の方は買うかどうか検討中…

「問い」を見つける

高校まではよく勉強していたと思うが、大学に入ってからはあまり勉強したという実感がない。 といっても、遊びまわっていたわけではない。高校までの「勉強」と、大学以降のそれとでは性質が違うから、同じこととは思えないのだ。 高校までの勉強は基本的に…

終わりよければ

昨年末、とても興味深く読んだ記事がある。 news.denfaminicogamer.jp 『ジャンプ』の編集長OBである鳥嶋和彦さんと矢作康介さんを含めた座談会で、『ジャンプ』に関する裏話や漫画論が盛りだくさんでおもしろく、また考えさせられる。 なかでも一番印象的だ…

ブックオフ事情

今年もすでに2週間過ぎてしまった。早い。早すぎる。 そういえば、今年もブックオフの「ウルトラセール」に行かなかった。 今年は時間もあったし、天気も良かったので行くつもりだったのだが、当日になって気持ちがグズグズになって結局行かなかった。セール…

鈴木さんの本

元日から早くも「古本病」の発作が起こり、ヤフオクでこんなものを買ってしまった。『百家短編集』と題した本が7冊と、『諸家説苑』と題した本が4冊、計11冊のセットだ。 私はネットで古本を買うとき、知らない著者や内容がよくわからないタイトルの場合は事…

支えるもの

元日と2日は仕事だった。そして3日から3連休。 2日、仕事から帰ってきて、夜中から明け方までひたすら無料配信のアニメを見続ける。3日、起きたのは昼過ぎ。今度はひたすら無料の漫画を読み続ける。 怠惰だ。怠惰にも程がある。 その無料漫画の中に『ヒカル…

新年の挨拶

何となく、 今年はよい事あるごとし。 元日の朝晴れて風無し。 (石川啄木) あけましておめでとうございます。 旧年中はたいへんお世話になりました。 今年もよろしくお願いします。 ……と、挨拶も済んだところで、今年のこのブログのことを考えてみる。 と…