何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

人生いもいも

 

久しぶりに自分でカレーを作ってみようと思った。(最近はレトルトばかりだったので)

冷蔵庫の中を確認し、足りない食材を前日の仕事帰りに買って、休日の今日作る。

ところが、いざ作ろうとすると、ジャガイモが傷んでいることに気づいた。見た目は大丈夫そうだったので、まだ使えると思って昨日は買わなかったのだが……そういえばこのジャガイモ、いつ買ったものだろう? 思い出せないくらい昔のものか。

さて困った。ジャガイモが入っていないカレーなど食べたくない。といって、今から買いに行くのも面倒だ。作るのはまた今度にするかな、と思ったとき、サツマイモがあるのを思い出した。

親指よりひとまわり太いぐらいのサツマイモが、数本入って100円だったのを数日前に買ってあったのだ。

まあ、同じイモだし、これでいいか、と思って代用する。

できたカレーを食べてみると、これが思ったよりもうまい。辛いカレーの中で、サツマイモのほんのりした甘さがほどよいアクセントになっている、ような気がする。(なにぶん「貧乏舌」の言うことなので、あまり信用しないように)

ふと気になって、「カレー サツマイモ」で検索してみると、いくつもレシピが出てくる。なんだ、私が知らなかっただけで、そんなに珍しいことではなかったのか。

「カレーにはジャガイモ」と思っていた固定観念がちょっと揺さぶられる。まあ、そんな大げさな話でもないんだが。

 

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そんなことを考えていたら、子どもの頃のことを思い出した。

私が小学生の頃は、土曜日はまだ休みではなく、午前中だけ学校があった。給食はなく、子どもたちは家に帰って昼ごはんを食べる。

私の家は共働きだったので、お昼の用意をしてくれるのはいつも祖母だった。たいていは手のかからないありあわせのもので済ませるのだが、ときどき「いもの天ぷら」を作ってくれた。しかしそれは一般的なサツマイモの天ぷらではなく、ジャガイモの天ぷらだった。

たしか当時は家でもジャガイモを作っていて、その辺に(文字通り)ゴロゴロしていたのだ。

そのジャガイモの天ぷらに、ただ醤油をかけて食べるだけなのだが、サツマイモよりもあっさりしていて、これがなかなかうまい。

さらに、ときどきだけど、ただの醤油ではなく「酢醤油」で食べることもあった。これがさっぱりしていてまたうまい。あっさりでさっぱりだ。

……という記憶があるのだが、なにぶん40年ぐらい前のことなので、自分でもいささか心もとない。本当にうまかったのか? 天ぷらに酢醤油とかアリなのか?

気になったのでまた「ジャガイモ 天ぷら」で検索してみると、けっこうレシピが出てくる。ただし、細切りにしてかき揚げみたいにしているものが多い。うちのは普通に輪切りだった。

これに「酢醤油」を加えて再検索。すると、ジャガイモではないけど、天ぷらを酢醤油で食べるというブログ記事がいくつか出てきた。かなり少数派の意見だと思うが、まあ、うちだけではなかったようだ。

 

うーん、こんなことを書いていると、ジャガイモの天ぷらが食べたくなってきた。

しかし、私は煮物や炒め物ぐらいはするけれど、自分で揚げ物はしない。

ジャガイモの天ぷら+酢醤油は、いまのところ記憶の中にだけ存在する「幻の味」になっている。