何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

車に乗りたかった頃

  

何度か書いているように、私は車の免許は持っているが実際には運転していない。いわゆるペーパードライバーというやつだ。

もう30年ぐらいハンドルを握っていないので、いまさら運転しろと言われても怖くてできない。どうしてもその必要があれば、もう一度自動車学校に入って簡単な教習でも受けなければ危なっかしい。

もっとも、いまのところ車を運転する必要も興味もないのだが。

 

昔から車に興味がなかったわけではない。

中学生の頃は早く免許が取りたかった。免許を取って、車を買って、その車を改造したかった。

もちろん当時『ジャンプ』に連載されていた次原隆二よろしくメカドックの影響だ。わかりやすい。

 

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メカドック」というのはメカニカルドクターの略で、主人公の風見は仲間2人と車のチューニング・ショップをやっている。「チューニング」というのは本来「調整」という意味だが、この場合は車の性能を上げるための「改造」と考えていい。市販の車を改造してスピードを競うのだ。

この市販の車というのがいい。

 

以前書いたけれど、私が小学生の頃にスーパーカーブームというのがあって、子どもたちはカウンタックフェラーリに夢中になった。

 

paperwalker.hatenablog.com

 

けれどそれは決して手が届かない高嶺の花であり、外国の映画に出てくる綺麗な女優のようなものだった。

しかし『メカドック』に登場する車は実際に街で目にする国産のスポーツカーで、がんばって手を伸ばせば届きそうな気がする。テレビで見かけるアイドルぐらいの距離感だ。

また、その車のチューニング(改造)も具体的にリアルに描かれていた。作者は実際に自動車整備士の資格を持っているということで、技術的な解説もわかりやすかった。私はこの漫画でターボやロータリーエンジンの仕組みを知った。

 

単行本は全12巻だから、連載期間は2年あまりといったところか。『ジャンプ』の漫画としては決して長い方ではない。連載当時は必ずしも順調というわけではなかったようだ。

しかし、連載から30年以上たった今も根強いファンがいる。(私もそうだ) 

 

それにしても、あの頃の車に乗りたかった熱い気持ちはどこに行ったんだろうなあ……。