何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

コショなひと

 

先日、購読している「日本の古本屋」のメールマガジン(無料)が配信されてきたので読んでいたら、こんな文章が目に入った。

 

「コショなひと」始めました

 

なんだか冷やし中華みたいだが、それはともかく、「コショなひと」って何?

 

実は「コショなひと」というのは、古本屋の店主のことらしい。

東京古書組合の広報部がいろいろな古本屋の店主を取材して動画を作り、それをYouTubeにあげているというのだ。

 

古書はもちろん面白いものがいっぱいですが、それを探し出して売っている古書店主の面々も面白い!
こんなご時世だからお店で直接話が出来ない。だから動画で古書店主たちの声を届けられればとの思いで始めました。

(「日本の古本屋メールマガジン第324号」より)

 

これは見なければ! ということで、さっそく視聴してみた。

 

動画は短いもので4、5分、長いものでは30分ぐらいとまちまちで、10件ほどあがっている。

古書店主というと、なんとなく無口でおっかないというか、近寄りがたいイメージがあるのだが、動画に出ているみなさんはけっこう話好きな感じがする。(まあ、無口な人はもともと取材を受けないのかもしれないが)

しかし話を聞いていると、やっぱりこう、どこか一癖二癖ありそうな感じもする。

ちなみに私が一番興味深く見たのは、10人ほどのの古書店主が集まって古書展(即売会)の準備・設営をしている動画だ。(マニアック!)

普段はみなさん「一国一城の主」なのだが、古書展のために集まって、若手・中堅・ベテランがそれぞれに割り当てられた仕事をしている。同じ目的を持った仲間ではあるのだが、なにかそこはかとない緊張感があるような、ないような……。

(興味がある人は視聴してみて下さい)

 


www.youtube.com

 

古本屋になった経緯や商売の仕方・考え方などは当然人それぞれだが、それでもみなさんに共通する雰囲気のようなものが感じられなくもない。

なんというか、みなさん商売に対してマイペースな感じがするのだ。

積極的に販路を拡大しようとする人もいれば、食えるくらいに稼げればいいという人もいるけれど、それぞれに自分のペースを大事にしているように見える。

 

マイペースというのはもちろん「自分勝手」や「いいかげん」ということとは違う。マイペースであるためには、他人を尊重するけれど影響はされず、自分を律する「自制心」や「克己心」がなければならない。

別の言葉で言えば、自分の中になにか《芯》のようなものがなければマイペースは維持できないのではないかと思う。

店主のみなさんは、それぞれ独自の《芯》を持っているように見えるのだ。

そういうところが、ちょっとかっこいい。

 

なんか古本屋に行きたくなってきた……。