何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

タバコに関する雑感

 

先日、職場の食堂(休憩室)からタバコの自動販売機が撤去された。

いまのご時世から考えると「まだあったの?」という気もする。

 

私自身はタバコを吸わない。

というか、生まれてこのかた吸ったことがない。これは私の年代(今50歳)の男としてはけっこう珍しいことかもしれない。

成人したら一度ぐらいは試してみる人が多いのではないかと思う。そこから本格的な喫煙者になるか、自分には必要ないものだと思うかは人それぞれだが、せっかく喫煙できる年齢になったのだから、とりあえずその権利(?)を行使してみたいと思うのではないか。

私が成人した頃は、タバコはまだ「かっこいいもの」だったような気がする。まあ、そのへんは個人の感覚の違いもあるだろうけど、少なくとも私はそう思っていた。

でも私は吸わなかった。特別に健康志向が強かったわけではない。なぜだか自分でもよくわからない。タバコを吸い始めるタイミングを逃した、という感じだ。

いまのところ世の中では、タバコは「健康に悪いもの」という認識なのだと思うが、これがさらに「かっこ悪いもの」と思われるようになれば、ますますタバコを吸う人は少なくなるだろう。(それとも、すでにそうなっているのだろうか?)

若い人では、一度もタバコを吸ったことがないというのはもう珍しいことではないのかもしれない。

              

自分ではタバコを吸わないが、人が吸っているタバコの煙は吸っている。受動喫煙というやつだ。

子どもの頃は父親がまだタバコを吸っていて(たしか60歳ぐらいでやめたはずだ)、よくその煙が居間に漂っていたので、私もそれを吸い込んでいた。(ちなみに銘柄は『エコー』だった)

また20代の一時期、恥ずかしながら「やさぐれた生活」を送っていて、昼過ぎから閉店時間までパチンコ屋に入り浸っていた。(午前10時の開店から行かなかったのは、その時間に起きれなかったからだ)当時のパチンコ屋はタバコの煙がもうもうと立ち込めていて、30分もいれば全身がタバコ臭くなったものだ。

いまでこそ受動喫煙が問題になっているが、昔は吸わない人間の方が立場が弱かったような気がする。

 

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最近ではテレビドラマや漫画の中の喫煙シーンにも気をつかわなければならなくなったと聞く。

漫画の中のタバコというと、私が最初に思い出すのは森田まさのりの『ろくでなしBLUES』だ。

いわゆる「不良」高校生を描いた漫画だが、登場人物が当たり前のようにタバコを吸っている。特に私が好きなのは、大阪の川島と闘う前に、かつて敵同士だった薬師寺、葛西、鬼塚が一本のタバコをまわし喫みする場面だ。

「不良」だから当たり前なのかもしれないが、いまの常識から考えればとても挑発的な漫画に思える。『ジャンプ』での連載が1988年から97年なのだが、当時はなんの問題もなかったのだろうか。いまの『ジャンプ』では、こういう描写は無理なんじゃないかと思う。(もっとも、言うほどいまの『ジャンプ』を知らないけれど)

いまの『ジャンプ』といえば、『ワンピース』のサンジはまだタバコを吸っているだろうか。最近はあまりちゃんと読んでなかったのでよく覚えていないが、もしサンジがタバコを吸えなくなる時が来たら、世の中がさらに窮屈になったということなのかもしれない。

 

最初に書いたように、私はタバコを吸わないので、この世からタバコがなくなったとしてもいっこうにかまわない。

けれど、誰もタバコを吸わなくなった世の中を想像すると、なんだかちょっとつまらない感じがするのはなぜだろう。