何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

味気ない生活

 

コロナを発症して3日目のこと、ようやく熱も平熱に近くなり、やれやれと一安心したところ、食べ物の味がしなくなっていることに気づいた。

昨日バナナを食べたときにはちゃんと濃厚な甘味があったのに、今日食べたらほとんど味が感じられないのである。食感はあるのに味がしない。

まさかと思って他にお菓子を食べたりジュースを飲んだりしてみたが、やはり味がしなかった。

そういえば以前、コロナから回復した後に味覚に障害が残るケースがあるという話をニュースかなにかでやっていたような気がする。そのときはまだコロナが他人事だったので「へー、怖いねー」ぐらいに思っていたのだが、自分がそうなるとは……。

 

それに加えて、どうやら嗅覚もおかしくなっているらしい。においをほとんど嗅ぎとれない。最初は鼻が詰まっているのかと思ったが、そうではなかった。品のない話だが、自分の屁の臭いさえわからないのである。

ネットで調べてみると、こうした味覚や嗅覚の異常はたいてい2週間から1ヶ月ぐらいで元に戻るらしいのだが、当然個人差があって、もっと時間がかかる人もいるようだ。

さらに腹の具合もよろしくない。かなり緩くなっている。私としてはけっこう珍しいことだ。整腸剤を飲んでいるが、あまり効いていない。やはりコロナの後遺症にそういう症状が出ることがあるらしい。

 

こんな感じなので、いまご飯を食べていてもぜんぜんおいしくないし、楽しくもない。

だからなのか、食欲というか、空腹感自体をあまり強く感じなくなっているような気がする。頭の片隅に「どうせなにを食べても味がしないんだから」という意識があるので、食に対してすごく投げやりになっている。それでも食べないと体が保たないので、とにかく食べ物を口の中に入れているといった感じである。

食べ物の味がしないというだけで、文字通りこんなに味気ない生活になるのだなと納得した。

時間が経てば回復するとは思うのだが……。