何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

一番よりNo.2

 

いつも利用している動画配信サービスで、ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦の第3部スターダストクルセイダースのアニメを見ている。

 

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この第3部にホル・ホースというキャラクターが出てくる。

西部劇に出てくるようなカウボーイハットに拍車(ギザギザのやつ)付きブーツという格好で、主人公たちを殺しにくる敵キャラなのだが、どこか人を食ったとぼけた性格をしていて、妙に憎めないところがある。

この男、一人では行動せず、いつも誰かとコンビを組んで仕事をすることを信条としている。

インドで承太郎(主人公)たちを襲った時も、相棒である J・ガイル(こいつは正真正銘の下衆野郎なのだが)が先にやられて一人になったことを知ると、躊躇せずに相手に背を向けて逃げるという徹底ぶりだ。

その時の(心の中の)セリフがおもしろい。

 

こ…こいつはかなわんぜッ!

おれひとりじゃ完璧不利!

ここは逃げて次の機会を待つぜ!

おれは誰かとコンビを組んではじめて実力を発揮するタイプだからな……

「一番よりNo.2!」 

これがホル・ホースの人生哲学 モンクあっか! (太字は引用者による)

 

逃げるための言い訳みたいなセリフだが、この「一番よりNo.2」という言葉、なかなか含蓄があるというか、名言と言ってもいいのではないだろうか。

(「一番」と「一人」というのは微妙に違うような気もするが)たしかにそういうタイプの人もいるだろう。

例えばテニスで、シングルスではそれほどでもないが、ダブルスになると強さを発揮する人みたいに。

 

こういうタイプの人はむしろ「一番」にならないほうがいい。

なまじ「一番」になってしまったばっかりに、本来持っている個性や能力を発揮できなくなるケースというのはけっこう多いのではないだろうか。

例えば野球で、コーチとしては有能だったのに、監督としてチームを任されたらうまくいかなくなる人とか。

俳優で、脇役としていい味出していたので、思いきって主役に抜擢してみるとおもしろみがなくなってしまう人とか。

政治家で、官房長官としては「できる」感じだったのに、いざ首相になってみると急に頼りなく感じられる人とか。

 

「一番」になることが必ずしもベストとは限らない。

自分の「らしさ」を発揮できるポジションを見つけることが大事なのだ。つまりは己を知ることである。

 

……とはいえ、己を知りすぎてまったくチャレンジしなくなるのも考えものか。

自分が知ってる自分を「更新」するために、ときどきは「一番」にチャレンジしてみることも必要なのかも。