何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

税金で買った本

 

前回の記事でおもしろいタイトルの漫画を買ったと書いたけれど、それがこちら。

ずいの / 系山冏(けいやま・けい)『税金で買った本』講談社、2021)[既刊2巻]

 

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「税金で買った本」というのは図書館の本のことで、これはつまり図書館漫画なのである。

 

主人公の石平くんはいわゆるヤンキーの高校生。

気になることがあって小学生の時以来久しぶりに図書館を訪れたのだが、ひょんなことからそこでバイトをすることになる。

なんだかんだと文句を言いながらも、個性的な職員たちに囲まれて図書館という場所に馴染んでいく石平くん。第2巻では図書館漫画の定番イベント(?)の「読み聞かせ」もこなす。

「お仕事漫画」でもあるので図書館員のいろいろな仕事が描かれていて、図書館の裏側を知りたいという人にはおすすめ。(原作のずいのさんは実際に図書館勤務の経験があるらしい)

 

石平くんは気になったことをそのまま放置できないタイプである。「知りたい」という強い気持ちを持っているし、また「知ること」の楽しさや喜びも知っている。

でも他人からそう指摘されると否定する。素直じゃない。

しかしヤンキーの友達から、おまえは図書館にいるようなやつじゃないと言われた時にはこんなふうに言ってのける。

 

  俺はバカのくせに知らないこと知るのが楽しくてしょーがねーし?

  図書館でお勉強すんのが好きなんだよ!(第2巻)

 

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多少は「天邪鬼」的な気分もあるのかもしれないが、本当はそういうことなのだ。(自分で言って照れてるけど)

そしてそういう「知りたい」気持ちを応援してくれるのが図書館であり、図書館員なのである。

石平くん自身がそういう図書館員として成長していくのか、どうか。

たのしみな漫画がまたひとつ増えた。