何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

相続はお早めに

 

3年前に父が亡くなった時、遺産相続のあれこれを行政書士に頼んだ。多少お金がかかってもプロに任せたほうが安心だと思ったからだ。

私には姉が二人いるけれど、事前に話し合いは済んでいたので相続は簡単に終わるはずだった。まあ、遺産といっても貯金がいくらかと、あとは田んぼや家などの不動産があるだけだったので、骨肉の争いをするほどのこともない。

ところが意外に手間取ることになってしまった。

 

問題は不動産のほうだった。

田んぼはすべて父の名義だったので、これをそのまま私の名義にするだけでよかった。これは問題なし。

しかし家が建っているところの土地は父の名義ではなく、祖父の名義のままだったのだ。これをそのまま私の名義にするわけにはいかない。

祖父には4人の娘がいて、そのうち次女が家に残った。つまり私の母である(父は入婿なのだ)。だから祖父の財産は、ほかの3人の娘(私にとっての叔母・伯母)にも相続の権利がある。土地の名義を私(もしくは母)のそれに変えるためには、叔母たちの承認が必要になる。

ドラマなどではこういうところで揉め事が起こったりするものだが、さいわい叔母たちはいい人なので、土地を母の名義にすることをすんなり認めてくれた。ありがたい。

さて、これで相続の件は一件落着……といきたかったのだが、実はさらなる問題があったのだ。

 

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家の建物の名義がなんと曽祖父のものだったのだ。曽祖父、つまり「ひいじいさん」である。これにはさすがに驚いた。

なんでそんなことになっているのか見当もつかない。

今住んでいる家は私が子どもの頃に改築したものだが、その時に名義のことを考えなかったのだろうか。祖父はキッチリした性格の人だったので、そういうところをいいかげんにするはずはないのだが。

なにか理由があったのかもしれないが、今となってはわからないし、理由がわかったところで当面の問題は解決しない。

 

いったい何人が相続権を持っているのか。

曽祖父の子どもたち(祖父の世代)、さらにその子どもたち(父の世代)、さらにさらにその子どもたち(私の世代)、場合によってはさらにその下の世代まで……。その中で相続権がある人を特定し、現在住んでいる所を調べ、連絡をとって相続権を放棄してもらう。考えただけでもうんざりする。

もちろん行政書士に頼めばやってくれるだろう。しかしそれにどれだけの時間と費用がかかるのか。

また仮に連絡が取れたとして、全員が快く相続権を放棄してくれるとも限らない。かえって「やぶへび」になる可能性もある。

 

そのあたりのことを行政書士と相談した結果、家の建物の名義は曽祖父のまま放置することにした。そのままでも私が住み続けることに問題はない。

ただし勝手に家を売却することはできない。

どうしても家を売却したければ、建物を取り壊して更地にし、土地だけ売ることになる。(老朽化などの理由で)建物を壊すのは私の一存でできるらしい。しかしその解体にいくらかかるのか……。

まあ、まだしばらくはこの家に住むつもりなので、先の話にはなるのだが……。

 

それにしても相続というのはめんどうだ。

自分が死んだ後に誰かに何かを遺す人は、事前にいろいろ確認しておいたほうがいい。いわゆる「終活」というやつだ。

縁起でもないと思うかもしれないが、やっぱり必要なことですよ。

 

今週のお題「わたしの実家」