何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

新刊文庫をチェックする

 

毎月10日ごろになると、翌月に刊行される新刊の文庫本の情報が出てくる。それをチェックするのを楽しみにしている。

利用しているのは「ほんのひきだし」というサイトで、出版社別でも刊行日順でも見ることができてとても便利だ。(ただし一部の出版社は掲載されていない)

 

これを見ながら、ちょっとでも気になった文庫はとりあえず全部ノートにメモしていき、その中から翌月に買う文庫本を決めるのである。

ちなみに今月(3月)刊行の分で私がノートに書き出した文庫は33冊だった。

もちろんどれも同じ程度に気になっているわけではない。「これは絶対買う!」という購入確定本もあれば、「余裕があれば買いたいけど……」というくらいの本もあり、また「なんかよくわからんけど気になる」という微妙な本もある。そういう本も全部書き出す。

 

私の場合、毎月買う文庫本はだいたい2、3冊なので、そんな30何冊も書き出しても時間の無駄のようだが、このメモは後になって役にたつ(こともある)のだ。

本に対する興味の深さは変化するから、刊行当時は「ちょっと気になる」程度だった本でも数ヶ月後には「読んでみたい」と思うようになるかもしれない。しかし毎月これだけたくさんの文庫が刊行されると「ちょっと気になる」程度の本まで覚えてはいられない。それでときどき以前のメモを読み返して、「そういえばこんな本が出てたなあ」と思い出すのである。そしてやっぱり読みたいと思えば、書店に行くなりネットで注文するなりすればいい。

頻繁に大型書店に行ってこまめに棚をチェックできればいいのだが、そういうわけにはいかないのでこうしている。

 

ついでに今月どんな文庫が気になっているのかを書いておこう。(情報は「ほんのひきだし」掲載時のもので、タイトルが変更されたり刊行が延期されることがあります)

まず買うと決めている購入確定本は、

 シルヴィア・ビーチ『シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店』(河出文庫

 小山力也・編『疾走!日本尖端文學撰集』(ちくま文庫

の2冊である。

特に楽しみなのは後者で、これは「古本屋ツアー・イン・ジャパン」こと小山力也さんが、大正後期から昭和初期にかけて書かれた「新感覚派」などの前衛文学を集めたアンソロジーらしい。文庫では類例がないのではないかと思う。(「尖端」という言葉にニヤリとする)

また今月の中公文庫も渋いラインナップで、大佛次郎『宗方姉妹』、金井美恵子『迷い猫あずかってます』、武田百合子『絵葉書のように』など、余裕があったら買ってみたい。

この他にも、よくわからないけれどタイトルだけで気になるのが『ダライ・ラマ六世恋愛詩集』(岩波文庫)、松原始『カラスは飼えるか』(新潮文庫)、フリードリヒ・グルダ『俺の人生まるごとスキャンダル』(ちくま学芸文庫)など。

 

まあ、実際に買うかどうかはわからないし、買っても読むとは限らない(!?)けど、先に楽しみがあるというのはいいことだ。

これを鼻先のニンジンにして、今月も労働に励みましょうかね。