何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

切手少年だったころ

 

私はいま50代だけれど、私と同年代の人なら一度は切手を集めてみたことがあるのではないだろうか。

というのも私が子どもの頃、つまり昭和40年代から50年代前半ぐらいにかけて空前の切手収集ブームがあったからだ。

 

いまの若い人にはまったくピンとこないだろうが、当時の切手収集ブームというのはものすごくて、例えば子ども向けのお菓子の「おまけ」にきれいな外国切手がついてきたり、普通の漫画雑誌に切手の「通信販売」の広告ページがあったり、とにかくみんな切手を集めていた(というイメージがある)。

子どもだけでなく大人でさえ記念切手の発売日に郵便局の前に行列するくらいのブームだったのだ。(もっとも大人の場合は将来の値上がりを期待した投機目的の人もいたようだが)

まさに老いも若きも、猫も杓子も切手収集といった感じだった。

 

当然私もその熱に浮かされた一人で、郵便局で切手を買うのはもちろん、家に来た郵便物の切手が貼られている部分を切り取って「水はがし」をしたり、通信販売で外国切手の「パケット」(安い切手を100種とか200種袋に入れたもの)を買ったりした。

そうやって集めた切手は「ストックブック」に保管して、友達とお互いのコレクション(というほどのものではないが)を見せあったり、ときどき交換したりしたものだ。もちろん切手の扱いは「ピンセット」で。

 

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当時は子ども向けに『○○入門』といった本がたくさん出ていて、もちろんその中には『切手入門』もあった。私はそういう本を買ってもらって、そこから切手のことや収集方法などを学んでいった。(家の中を探したけれど、その当時の本は見つからなかった。残念)

しかしそんなふうに本格的にやる子どもは少なくて、たいていの子どもはそのうち飽きて収集をやめてしまった。まあ、ブームなんていうのはそんなものだ。

 

ところが私の場合、やめたり再開したりを繰り返しながらだけど、20代の中頃ぐらいまで続けていた。

切手収集、というか、より広義に郵趣というべきだが、それは知識を得れば得るほど奥が深くなる趣味だったのだ。

例えば一見同じように見える切手でも、印刷方式や紙質などで何種類にも分類できるし、使用済みの切手はそこに押されている消印の種類を分類できる。またその切手の使われ方から郵便料金や郵便制度の変遷を調べたり、さらにその社会的歴史的背景を調べたりと、実に興味深い趣味なのだ。

そんな小難しいことは別にしても、きれいに整理された切手のアルバムは見ているだけで楽しい。

さすが「趣味の王様」と言われていただけのことはある。いまではすっかり没落してしまったけれど……。

 

いまは実際に切手は集めていないけれど、興味というのはまだあって、ときどき郵趣家(収集家)の人のブログを読んで「へえ」とか「ほお」とか言っている。

それに、このブログをたびたび読んでくれている人ならご存じのように、いま私は古い絵葉書などを集めていて、昔の切手の知識が役に立っている。

切手収集と絵葉書収集は別物だけど、まあ親戚みたいなものではある。

よくよくそういう郵便関係のものが好きなのだなと、自分でもちょっと苦笑している。

郵便にはロマンがあるのですよ。

 

今週のお題「わたしのコレクション」

 

(子どもの頃のブームといえば……)

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