何を読んでも何かを思いだす

人生の半分はフィクションでできている。

誰?

 

なにがきっかけだったのか、ふと、泉鏡花高野聖を再読したくなった。

高野聖』なら、隣の市の大型書店に行かなくても、市内の書店にあるんじゃないかと思って仕事帰りに寄ってみる。

いや、まあ、家の中を探せば2、3種類の『高野聖』は見つかると思うけれど、どこをどう探していいのか見当がつかない。結局買ってきた方が早いということになる。

それじゃあ「蔵書」の意味がないのでは? と思うかもしれないが、その通り。(居直り)

よくあることです。

 

市内の書店は、岩波文庫は扱っていないので、探すとすればまず新潮文庫か。

そう思って文庫棚を見るが、残念ながら新潮文庫版はなし。あとは……角川文庫や集英社文庫からも出ていたはずだけど、まだ現役かなあ……と見てみると、おっ、角川版があった。

これ幸いと棚から抜いて、表紙をみると、

 

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目が合ってこちらも「きょとん」としてしまう。
 ……………………誰?

 

本に巻かれていた帯によると、「文豪ストレイドッグス × 角川文庫コラボカバー」ということらしいのだが……。

 

文豪ストレイドッグス朝霧カフカ春河35による漫画で、現在も『ヤングエース』で連載中、既刊19巻、アニメも第3期まで作られている人気作品、らしい。(以下、文末に適宜「らしい」を補って読んでください)

架空の日本を舞台にしたいわゆる「異能バトル」系の漫画で、登場人物は「文豪」と同じ名前を持ち、それぞれの作品にちなんだ「能力」を持っている。

たとえば「中島敦」の「月下獣」は虎に変身する能力で、「太宰治」の「人間失格」は相手の能力を無効化するキャンセラー系の能力だったり。

ちなみに上のカバーに描かれているキャラクター「泉鏡花」(念のために書いておくと、現実の泉鏡花は男性)の能力「夜叉白雪」は、仕込み杖を使う異形・夜叉白雪を召喚し戦わせるというもので、かなり戦闘力が高いらしい。はあ、そうですか。

 

いや、おもしろそうな漫画だとは思う。読んでみたいとも思うけれど、このカバーはなあ……。

角川文庫のカバーはわりと短期間で変わるし、これも一種の「期間限定」なのだと思えばいいのかもしれない。

しかし、こちらとしては『高野聖』の妖艶な世界をイメージして、その雰囲気に浸りたいと思って手に取ったのに、カバー絵がこんなかわいい女の子では、萌えるよりもむしろ萎える。

私は歳の割には漫画やアニメが好きな方だと思っているけれど、それでもこのカバーはどうかと思う。まして、普段そういうものを見ない中高年には抵抗が大きいだろう。まあ、そういう人は岩波や新潮を探せばいいんだろうけど。(ただし、角川文庫の古典作品は意外と註釈や解説が充実している)

 

いやいや、こういうのをきっかけにして、普段「文学」を読まない若い人たちが手に取ってくれれば……なんて、ものわかりのいい大人みたいなことを言ってもいいんだけれど。